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冷蔵庫は満員

部屋は四隅から闇にのまれた。

空気も、薄く冷たくなる中、扉の開いた冷蔵庫だけが、唯一の光を放っていた。
この宇宙にあって、冷蔵庫は宇宙船だった。
漏れ出た光が、彼女を照らしている。
野菜だのチーズだので、満員で、彼女は乗る余地がなかった。

部屋に拡大する闇を背に感じながら、彼女は冷蔵庫の中を凝視していた。
彼女には食べる意欲がなかった。
乗組員を調理することも、胃のなかへ処分することもできなかった。

部屋の宇宙エリアは拡大し、部屋は部屋ではなくなっていた。
触れない闇だけ。
スイッチも壁もなく、窓もドアもないのだ。

彼女は宇宙船に取り付いて、光の中に身を置き続けた。