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埋もれたメダル

三杯目の酒を注文し、それから、カウンターにある砂時計の飾り物を見ていた。
ひっくり返すと、妙な重さがあった。
中身は、深海を切り取ったかのような、重い砂と水で満ちていた。

逆さになった水と砂の時計の中で、海底の堆積物がぬるっと重い腰を上げ、新しく用意された別の底へと移り始めた。
ゆっくり減っていくほうの砂山から、沈んでいた船首が現れ始めた。
沈没船の、上を向いた舳先には、見覚えのある刻印のメダルが引っかかっていた。

ふと、この船の船員は、自分だったような気がしてきた。
いつかの日、この船で、あのメダルのような何かを追っていたのだと。

思い出すべきでなかったことが舳先に掲げられ、徐々に顕わになっていく上に、周囲の知らない人たちも、指差しながら何やら勝手に語り始めた。

船とメダルを隠すため、砂時計をもとの位置に回した。
すると頭の中の考えも、ぐるぐる酷く回り出し、店の外へ出たあとは、帰る駅を探して、ただぐるぐると彷徨い歩いた。