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星の国

瞳に星を宿し、彼女は生まれてきた。
その煌めきに惹かれて人々が集い、誰も彼もが彼女の前途を祝福した。

十四になった朝。
彼女の瞳の星は、前触れもなく消えてしまった。

このことに、国中が深く愁いを抱いた。

人々は、彼女が星を取り戻すことを切に願い、思い思いの光を掲げた。
詩を飛行機に折って塔から飛ばす者や、弦を張って、夢見る時分まで調べを奏でる者。
バルコニーをプランターで埋め尽くす婦人と、道化メイクで踊り出す路上芸人。
挑戦したレストラン経営であっさり失敗する者に、その叶わなかった心の供養を引き受ける者。
花火師、教師、彫刻家。
皆、個々のやり方で、各々が思う煌めきを掲げ始めた。

そうして願いは、いつしか忘れられていった。

晩年、彼女は夜にだけ窓辺に立ち、夜のような黒い瞳に街を映した。
彼女の瞳に星が戻ることはなかったが、街の無数の輝きが、彼女の瞳に反射した。
彼女は借りた輝きで、星の国を見つめ続けた。