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夏の流氷


 
 
  夏の終わりに、
    夜道を流れていったのは
 
    今年などではないもの
      今もまだ 凍っていましたか。
 
 
 夜空の手前で、
  歩いた分だけ流れていった
 
   今年なんかでないはずの もの
  今も凍り灯って いましたか。
 
 
  (ガラス製の 街灯
         夜に白い光)

    夏の流氷は、歩いたぶんだけ
   歩道の少し上を流れ。
 

  古い出来事たちは、手の届かない高さで
   みんなつめたく
  街灯のふりをして
    浮かんでいるのでした。
 
 わざわざ ひとつ遠いコンビニまで
  行く間 に
   夏は終わり、
  いつからか この夜道まで、
         流れ始めましたか。
 
 
 今年にしかないものは まだ
   なんにも灯らずに
 
  残りの そうでないものたち みんな
 みんな灯って いきました。
 
 
              ────「夏の流氷」