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と、暮らす

朝起きると、ベッドの脇に灰色の生き物がいた。
首輪をしていて「疲れ」と書かれていた。
紐で括り、ペットとして公園へ連れて行った。

多くの人が散歩していることに驚いた。
連れているペットは様々な名の「不調」だった。
尖った四肢の「焦燥」や、赤黒い巻き毛の「怒り」などが紐で繋がれ、自らの主人に寄り添っていた。

夕暮れ時。
不調たちは首輪だけ残して、暮れるように風景の中へ解けて消えていった。

僕も紐を解いて「疲れ」を自由にした。
疲れは少し遠くへ行っただけで、すぐ戻ってきた。

翌朝、ベットの下を覗くと、寝息を立てている「疲れ」がいた。
首輪もなく、安心しきった様子で、居着いたらしかった。